親子でスマホ・ゲームお約束メーカー
インタビュー
2024年1月12日

子どものスマホやゲームのトラブル、学校に相談できる事、家庭で解決すべき事~小学校編~

クリスマス、お年玉……、親にとってはつらいシーズンだわ!

この時期はお金について親子で考える絶好のチャンスじゃゾイ!

もくじ
小学校プロフィール
ガンホー出前講座をご体験いただいた、ある小学校のA先生、B先生、C先生。学校でもデジタル機器を児童に貸与しており、また学校への児童個人のスマホ持ち込みは申請があれば許可しているものの、校内、通学路ではスマホをランドセルから出さないのが約束。

GIGAスクールが始まり、教育にデジタル機器が必要な時代になりました。しかし、学校で貸与されたデジタル機器で動画やゲームで遊ぶなど、教育とは違う使われ方も問題になっています。そんな中、スマホやゲームの問題を学校に相談するケースも増えてきています。今回は、現役の小学生教員にスマホやゲームの問題に対して、学校と家庭が連携して解決できることや、家庭内で解決してほしいことの境界線について伺ってきました。GIGAスクールならではの問題に悩んでいる親御さんは参考にしてみてください。

どのようなデジタル機器のトラブルが起きているのか

子どもたちの間でどのようなトラブルが起きているのか、実態を伺いました。

「スマホ持ちたて」はトラブル続発!

A先生:スマホデビューをする子が増える5年生のトラブルが多かったですね。もっと小さな頃からスマホを利用している子どももいますが、そういう子どもは「こんな使い方したらまずい」という感覚がすでにあるんですよね。
ですが、5年生スマホデビュー組はもう使いたくて仕方がないですから、SNSのグループをどんどん無尽蔵に作ってしまうんです。そのような勢い任せの行動の中から、いじめにも繋がってくるような言動も出てきてしまうんです。
ですので、学校では子ども達と何度も何度も話し合いをしました。そして6年生になり、今年も似たようなことになるのかなと思っていましたが、これが案外問題なく。伝えたことを子どもたちが理解してくれたのだと信じたいです。

B先生:5年生だと、まだ自分のスマホを持たない子どもも多く、保護者のスマホのSNSを「間借り」して子どもたちの間でやりとりすることもあるのですが、そうなると保護者の目があるのでトラブルの発覚も早いです。ただ自分のスマホを持つ子どもが増えると、トラブルが見えにくくなりますね。

――本人に落ち度がなくても、また本人がスマホを持っていなくても、ほかの「スマホ持ちたて」の子どものスマホトラブルに巻き込まれる可能性がありますから、小学校高学年は保護者も目を光らせておきたいですね。

スマホデビュー!あれもこれもやりたい!

学校貸与端末は、保護者サインの上で利用

――学校から児童に貸与しているデジタル機器は、貴校ではどのような運用をされているのでしょうか。

C先生:学校独自の約束を作り、それをプリントにして、子どもたちにも説明し、保護者の方にもサインをいただいています。もし、これらの約束を守れなかったらデジタル機器は回収しますよ、とも伝えています。あとは、各先生の日々の声掛けですね。

「ご家庭でしてほしいこと」「学校ですること」の境界線

――保護者が子どもに与えているスマホでトラブルが起きた場合、これは「学校の問題でなく、ご家庭の問題」とも言えると思います。トラブル時の学校と家庭の「境界線」はどこにあるとお考えでしょうか。

C先生:基本的に学校の人間関係の延長でスマホトラブルが起こっているのであれば、その人間関係をより良くする意味では、学校も指導に入らなければならないと思っています。

A先生:ご家庭で子どもにスマホを持たせている以上、ご家庭で対応してほしいと思うケースもありますね。ですが、学校の人間関係のトラブルがスマホで起きているのであれば、学校が入って話をします。子どもが辛い思いをしてほしくないですからね。

B先生:よく保護者の方から「子どもが遅くまでスマホやゲームをしていて注意したところ、友達はもっと遅くまで使えてる!と反論された。どうにかならないのでしょうか」と相談を受けるのですが、そこで教員が子どもに「何時にやめなさいよ」と話すのは、おかしいなとは思いますね。 学校で子どもたちには「それぞれのお家でゲーム・スマホの約束は違うけれど、自分のお家の約束を守らないといけませんよ」と伝えていますが、ご家庭でももっと話し合ってほしいです。

A先生:ゲーム機の設定等、ゲームの利用時間を機械的に制限できる機能を活用してほしいです。保護者の方とお話していると、使いすぎを防ぐ機能を結構ご存じないと思うことはありますね。

学校以外にもスマホトラブルは「公的相談窓口へ相談する」選択肢もあります。

「うちの子だけは大丈夫」じゃないのには理由がある

なぜゲーム・スマホでトラブルが起きてしまうのでしょうか。お話を伺っていくと、親子間のずれが浮かび上がってきました。

スマホトラブルがあった時の保護者の対応

――学校で子ども間のスマホトラブルが発覚した時、保護者はどのような感じなのでしょうか。

B先生:深刻に考えられる方もいれば、一方で「子どもが使ったらそうなりますよね」とあまり重くとらえていないのかなという方、さまざまですね。

A先生:子どもにトラブルがあったことを保護者の方に伝えると「うちは親子で約束作って、守っていますから大丈夫!」とお話される方もいらっしゃるのですが、全然大丈夫ではないSNSのやりとりを実際に見ていただくと「え!!うちの子がこんなことしてたんですか!」と真っ青になる、みたいなこともありますね。

B先生:今のお話に関連して、学校で「スマホ利用について、お家で約束を決めていますか?」と子ども、保護者双方にアンケートを取ったことがあります。保護者の方は「うちはきちんと約束を決めています」という回答が大多数だったんですが、子どもたちは「うちは約束なんてない」という回答が多かったんです。

――約束を決めた「つもり」で「うちは大丈夫!」と思っているのは、保護者側だけなのですね。

A先生:スマホ・ゲームでトラブルを起こしてしまった児童も、親子でデジタル機器の利用において約束は決めていたとは思います。ですがその約束が、実際に子どもの中でしっかり落とし込めていたのかという点ですよね。

B先生:また、「スマホ・ゲームは何時まで」と約束したはずなのに、子どもにねだられ「今日だけ」とか、「ちょっとぐらい」とかで、約束が結局緩んでいってしまうケースも少なくないですね。それが、後のトラブルになっているというのは感じます。

――緩んでいってしまう約束なら、子どもたちが「うちはそんな約束はない」と認識してしまうのも納得です。

スマホトラブルがあった時の保護者の対応

子どもを疑うための約束ではない

A先生:また、あるご家庭では「ネット上で知らない人とやりとりをしてはいけません」と約束を決めて子どもにスマホを持たせていたのですが、子どもが知らない人と連絡を取っていたケースがありました。
ただこの「知らない人」が、子どもにしてみたらSNS上でよく見る「友達の友達」だったんです。子どもにしてみれば「友達の友達だから知らない人ではないし、怪しい人ではない」と、約束を破った自覚がそれほどなかったんです。
一方、保護者の方は約束を破られてしまったことがショックで、他の事でも子どもを疑ってしまう、とお話しされていました。ですが、子どもを疑うためではなく、子どもを守るために約束があるのだと思います。

――「約束の認識」に親子でズレがあったゆえのすれ違いですね。確かにSNSをしていると「友達の友達」を機能が紹介してきたりしますよね。「友達の友達ならいいか」とガードが甘くなるケースも考えられます。「友達の友達」の扱いについては、親子でしっかり話し合いたいですね。

子どもを疑うための約束ではない

トラブル防止のためにできること

スマホ・ゲームでのトラブルを防止するために、保護者側で把握しておいてほしいことについて伺いました。

親も実際に子どもが使いたいサービスをやってみる

C先生:トラブル防止というよりトラブルが起きてしまってからの話になりますが、証拠をスクリーンショットで撮っておいてほしいですね。「言った・言わない」を防ぐためにも必要です。

B先生:子どもにスマホ、ゲーム、SNSをやらせるなら、保護者の方は事前にそれらを実際にやってみてほしいですね。子どもが欲しいというから買い与えるではなくて、「実際にうちの子がやったらどうなのかな?大丈夫かな?」という視点で、まずは実際に体験してほしいです。

スマホやゲーム機を渡すのは「新たな始まり」でなく「ラストチャンス」

――デジタル機器を子どもに与える前に、保護者側に気を付けてほしいことはありますか?

C先生:デジタル機器を子どもに渡す時は、できるだけきつい約束から始めることを勧めます。ゆるい約束で始めて、どうにもこれではまずい!となったときに、そこから縛りをきつくするのは無理です。買い与える時は始まりではなくラストチャンスです。

A先生:先ほどアンケートでの親子の約束に関するギャップのお話がありましたが、「親が1回言っただけ」では子どもは分からないんですよね。親子で、子どもが利用しているゲームやアプリを一緒に体験しながら何度も話をしてほしいです。
大人なら、「なんか危ないな」「よくわからないから手を出さないでおこう」とブレーキを掛けることができますが、子どもって本当に怖がらずなんでもやってしまう。だから子どもは大人に比べ吸収も早いという良い面もありますが、「リスクが分からずトラブルを起こしたり、巻き込まれたりしやすい」という悪い面もあります。
子どもはなんでもやってしまう以上、日々周りの大人が子どもにリスクについて伝えていくのが大事だと思います。

好きでゲームをいつまでもやっていると思っていた子どもの意外な胸の内

――ガンホーが貴校の児童さんたちに向けて、スマホ・ゲームの利用についての出前講座を行いましたが、こちらの感想についてお聞かせください。

A先生:お話しいただいた「子どもたちのゲーム課金は見栄が動機」というのが個人的にすごく意外でしたね。「強くなりたい」とか「あのアイテムが欲しいから」といったものだと思っていたんです。また、子どもは楽しくてゲームをしていると思っていましたが、切り上げるタイミング、やめ時に結構悩んでいるというのも驚きで、毎日顔を合わせている子どもたちにも知らない面があるのだなと思いました。

C先生:切り上げ方のお話は私も印象に残っています。私自身もゲームをするので、いいゲームのやめ方について講座以降、私も考えるようになりました。それで「負けが続いてきて、この負けをどうにかして取り返さないといけない!」と、「取り戻そう」という感覚になっていたら、その日はもうやめないといけないなと反省しました(笑)。

POINTまとめ
  • 「スマホ持ちたて」が増える小学校高学年は保護者も要注意!
  • 子どもは一回では覚えない~約束を作った気になっているのは保護者だけ~
  • スマホやゲーム機を買い与えるときは「ラストチャンス」

ガンホーの出前講座


POINTを意識して約束を作ってみる

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石徹白 未亜インタビュアー/ライター
石徹白 未亜
いとしろ みあ。ライター。ネット依存だった経験を持ち、そこからどう折り合いをつけていったかを書籍『節ネット、はじめました』(CCCメディアハウス)として出版。ネット依存に関する講演を全国で行うほか、YouTube『節ネット、デジタルデトックスチャンネル』、Twitter(X)『デジタルデトックスbot』でデジタルデトックスの今日から始められるアイディアについても発信中。ホームページ いとしろ堂
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